院長・スタッフ紹介

麻酔担当医 井波 美帆 (いなみ みほ)

麻酔担当医 井波 美帆 いなみ みほ

麻酔医として歯科医院に呼ばれることは、結構あるんですか?

はい、そうですね。
歯科医院で行う麻酔をベースに今は行っているんですけれど、すごく需要は多いです。

麻酔科の先生って、いわゆる大きな病院にいるイメージがあるんですけれど。

私も三月までは、大きな病院にいました。

ちなみにどちらの病院ですか?

昭和大学藤が丘病院というところです。
私は歯科医師なんですけれど、「歯科医師」の中に「麻酔科」というジャンルがあって、日本に私のように歯科治療じゃなくて、歯科のための麻酔を専門にやっているちょっと特殊なものです。

知らなかったです。

お医者さんが行う全身麻酔ももちろん出来るんですけれど、お口の中でお水を使いながらする治療についてはやはり特殊なので、お医者さんがする麻酔とはやり方が違うんですね。
オリジナリティが必要なので、歯科医師の中に私のような専門性を持った人が日本には1200人います。

歯科大学で歯科医師免許をとって、それからトレーニングを受けます。
1200人しかいないんですけれど。(歯科医師は約1万人、平成26年)

その後大学病院に残って、麻酔科で勉強して、麻酔を打てるようになるんですね。

3月までは大きな病院にいて・・・そのときは歯科のための麻酔ではなくて、脳外科ですとか整形外科とかですが、オールジャンルの全身麻酔を毎日毎日かけてたんですけれども、そこでひとしきりどんな状況にも対応できるトレーニングをして、今は歯科のための麻酔を専門に行っています。

先生はそういうジャンルでやっていこうと思っていた?

はい。
専門性がかなり高いジャンルです。
歯科医師って一般のお医者さんと違って、口の中の治療を全部自分でするじゃないですか。
ですけど、唯一麻酔だけは普通の歯科医師の先生は手が出ないジャンルなのです。

法律的にやっちゃいけないのでしょうか?

法律的にはやってもいいんです。
歯科医師という免許を持っていれば全身麻酔もいいんですが、実際に出来るかと言われれば、知識的にも技術的にも出来ないので、その1200人しか実態としては動いていないですね。
なので、この専門性をせっかく得たので、これを活かして。

川名部歯科医院で麻酔を打つのは、どういうシチュエーションか?という話を先ほど院長ともしてきたのですが、その中でも「静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう)」について詳しく教えていただけますか?

まず、「静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう)」についてお話します。

歯科医師をしていて、歯科治療が好きな人を私は見たことがありません。
歯科治療が好きな患者さんは、まずいません。

ならば、眠っている間に治療が終わっていれば患者さんのストレスはないと思うんです。
「静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう)」は、眠っている間に治療が終わるための麻酔です。

具体的には、治療が始まる前に、最初に点滴をとります。
こちらから、気持ちがリラックスして、緊張感が取れて寝てしまうお薬を入れていきます。
そうすると、緊張の強い方で眠れない方はごく稀にいますが、だいたいの方はぐっすり眠ってしまいます。

寝ちゃう?

はい。
その間に先生が治療をし、起きたら治療が終わっているという状態が「静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう)」ですね。

全身麻酔との違いは?

全身麻酔との違いは、完全に呼吸を止めるか止めないかですね。

全身麻酔は呼吸止まりますね。

はい。
歯科治療に全身麻酔ほどの強い麻酔は必要ありません。
患者さんが眠っている間に治療が終わればOK、それが目的なので、全身麻酔はかけません。
「静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう)」で十分かと思います。

全身麻酔の場合は前の日から制限があって、終わってもすぐには動けないですよね?

麻酔担当医

そうですね、1~2時間しっかり休んでいただいてから帰るので、やっぱり外来診療には向きませんね。
患者さん自身で呼吸をしてもらいながら、眠っている状態というのがわかりやすいと思います。

「静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう)」は、終わった後、どんな感じなんですか?

10~15分間は多少眠いです。
ですけれど、かなり切れのいいお薬を使っていますので、15分から20分少し眠たい状態は続きますけれど、その後、歩いて帰れます。

その後、痛みは来るんですか?

点滴のほうから痛み止めを入れることも出来るので、手術がインプラントでしたら、治療が終わってから5~6時間は痛みがない状態にする薬を私の方で入れていくことも出来ます。
普通はお口から飲むお薬しか使えないと思うんですけれど、それよりももっとガツンと効く痛み止めを入れていくことも出来ます。

全身に流す痛み止めですね。

そうです、そうです。
なので、効きますね。
なので、インプラントのときによく使うオプションメニューになるのではないか?という話を院長がした思うんですけれど、インプラントだけでなくて、効果的なのは、親知らずの抜歯です。
インプラントと抜歯、この二つが一番わかりやすく患者さんが一番「いやだな」と思う治療なので、使います。

実は、それだけじゃなくて、治療されること自体が苦手な患者さんがいます。
なので、普通の虫歯の治療ですとか、そういったことにも幅広く使えます。
歯科治療全般に使えると思っていただいて問題ないです。

インターネットでも検索数がとても多いのですが、いわゆる「無痛治療」を患者さんはものすごく探しているんです。
「無痛治療」を実現できると思っていいんですね。

はい!
患者さんが期待する「無痛治療」というものは、「静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう)」でほぼ完璧に実現できます。
それ以外は難しいと思います。

それ以外は難しい?

難しいと思います。
鎮静法をやると、患者さんは術中のことを覚えていないです。
術中の記憶は95%の人が覚えていないのです。
ごく一部分の方だけ記憶に残ってしまうこともありますが、治療全体の中の一瞬一瞬が残っている感じです。

魔法みたいですね。

はい(笑)。

本当の意味での「無痛治療」のニーズはすごくあります。
患者さんは、本当に探しています。
実際にここまでやっている歯科医院は少ないですね。
電動麻酔をしっかりやるという医院さんはありますけど、川名部歯科医院は寝かせちゃうんですもんね。ホントの無痛治療です。

先ほど訪問診療の話をしていましたが、訪問診療に行くと、認知症の患者さんが多くいらっしゃいます。
認知症の患者さんだと、コミュニケーションをとることが難しいので治療にならないこともあります。
口に指を入れると、ガブっと噛んでしまうとか、口をずっと空けていられないとか。
暴れてしまって話をすることも難しい方もいます。
ご家族の協力が得られれば、私が訪問に一緒に行って、鎮静法をかけて眠っている間に治療することができます。
障害者の方や、発達障害のお子さんは治療を受けることが難しいんですね。
そういったお子様にもリラックスするお薬を入れていって、治療します。

歯科の麻酔は、元々は障害者の方の治療向けに、発達してきた学問なので、その現場が一番生きてくる。
訪問、ご自宅や施設ではご家族のご協力がないとできないのでまだまだ少ないですが、ご希望があれば伺います。
お子さんの場合、お母様も押さえつけて、トラウマを植えつけてないで済み、次から診療できないという状況を避けられます。
口腔外科治療だけでなくて、歯科治療全般に使えます。

静脈内鎮静法以外に「笑気鎮静法」というのもあるそうですが、どう違うのでしょうか?

麻酔担当医

これは、完全に眠っていくのを目的としません。
少し気分が落ち着く程度です。
かなり広く歯科医院で使われている方法です。
笑気に関しては、私たち専門家が来なくても歯医者さん全体が使えるものになっています。
こちらは、ガスを嗅いでいただくことで気持ちがリラックスして、多少ウトってできればいいというそんな感じで治療を受けていただけます。

気分がハイになるんですか?

あ、ならないです。
落ち着くって感じ、少し眠いって感じですかね。

どういう人がやるのですか?歯医者さんが怖い人やお子さんがやるのでしょうか?

歯医者さんが苦手な人、お子さんが多いです。

終わったら眠くて動けないとかありますか?

というのはないです。
こちらは多少眠くなればいいというようなものなので。

基本的には、気持ちを落ち着かせる「軽い」ものということでしょうか?

かなり「軽い」です。
眠っている間に終わってしまうという経験は、笑気ではあまりできないですね。
なので、終わったら笑気を切って酸素をしばらくかいでいただければそのまま外来で帰れます。

誰が施術するのですか?

川名部先生がやります。
どちらの歯科医院でも笑気は一般的に使われているので安心です。

では完全無痛を実現するときは、先生の出番ということですね?

そうです、はい。

私たちには知らない「とっておき情報」はありますか?

よく患者さんに言われるのは
「歯医者さんは15~20分の予約枠で何回もきて治療が終わらない。」
「10回とか20階とか通わないと治療が終わらない。」
私もよく他業種の方からも聞かれるんですけれど、歯科医師の先生はかなり緻密な治療をしています。
もし患者さんが2時間3時間口をあけているのが可能で、一気に集中して3~4回分の治療を終わらせることが可能であれば、治療回数も劇的に減らすことができるんです。
だた、お口を空けていられる時間の限界は、見ていると皆さんだいたい2時間なんですね。

2時間も空けられるんですか?

2時間空けていると、かなりぐったりして帰っていきます。
すごくいやな思いをして「あごが痛い」とか言いながら帰ります。
このときも私が来て、眠っている状態にしてしまえば、3時間~3時間半くらいの一回の治療の予約枠をとって、治療を進めることが可能になります。

ほんとですか?

はい。
4時間とってやっているところもありますね。
「とにかく、治療を早く終わらせて回数を少なくしたい」というニーズには応えられると思います。
忙しい経営者の方などがやってますね。
アポイントを3~4時間とって、4~5回で終わらせることができます。
一回の治療に3~4時間とるというのは、やっぱり起きている状態だとかなり難しいので・・・。

それは「静脈内鎮静法で」ですか?

はい、そうですね、静脈内鎮静法で可能になります。
笑気では無理です。

完全に寝かしてしまうと。

そうですね。
感覚としては気づいたら3~4時間経っているんだけど、10~15分眠っている間に治療が終わったという感覚になります。
そのほうが先生も治療に集中できます。
何回も治療に来ていただいて、「今日はこういった治療をします」と始めるところよりも、「今日はここまで治療を進めます」ってダーっと治療を進めたほうが先生も治療に集中できるんで、お互いにいいと思います。

完全自費ですよね?

麻酔担当医

はい。
半日くらい枠を取って一気に進めるので、患者さんの満足度はかなり高いです。
数は限られますけれどね。

患者様の中にそういった治療法があるということをまだまだ知らない方が多いのですし、
クリニック側でもそういった治療法があると提案しているクリニックがまだ少ないので、六本木です銀座ですといったようなところにしかないので、まだ行き渡っていません。

川名部先生が以前いたクリニックでもやっていたようです。
3~4時間とってやるという治療を経験されているので大丈夫です。

麻酔にはいろいろな使い方がありますので、まずはご相談していただければと思います。

【インタビュー】2017/4/29