矯正医 井波 俊博 (いなみ としひろ)
-
川名部歯科医院には「セファロ」という矯正歯科に必要なレントゲンがあるそうですが、他のレントゲンと違うのですか?
- ぜんぜん違いますね。
診断がしっかりできます。
-
セファロを詳しく説明していただけますか?
- セファロは、子供のうちの矯正治療だと、骨格的なバランスを調べられます。
子供のうちにしかできない骨格的なアプローチとか、そういったところに診療量の内容を反映できます。
-
セファロって3Dなんですか?
-
2Dです。
3Dを撮るためにはCTを使います。(CTも川名部歯科医院にはあります)矯正に必要なデータは「下あごが大きい」とか、「上あごが大きい、または、小さい」ということ。
成長期だったら成長をコントロールできます。
それを調べるには、セファロがあればわかります。
ないとわかりません。たとえば、この出っ歯の原因はどこにあるか?
ただ単に歯が出ているのか?
下あごが小さいから出っ歯なのか?受け口の場合は、歯が原因のなのか?
下あごが大きいのか?
それによって治療する装置が変わってくるのです。セファロの場合、歯の角度がわかります。
セファロがない場合、あきらかに「写真撮影いらないだろう」というとき以外は、基本的に写真撮りに大学病院とか行ってもらったり、提携医院に撮りに行ってもらったりしていました。
基本的に、ないと矯正治療できないです。同じ医院で検査から診断まで全部できるのは、かなり便利です。
-
院長は、矯正については大人子供分けずにいろいろな相談を受けていきたいとおっしゃっていました。
今、マウスピース矯正がとても人気なのですが、子供も大人もできるんですか? - 基本的には大人の方向けですね。
マウスピースと一口に言ってもいろいろあります。
流行っているのは、大人のインビザライン、見えないやつですね。
子供のものは目的が違います。
永久歯が並ぶことができるスペースを作る、あごを広げることが目的ですね。
ちっちゃなお口を広げたりとか、下あごを広げたりします。
取り外し式の装置、床矯正(しょうきょうせい)をする事が多いですね。
-
先生は、いろんな装置を使って矯正するという感じですよね。一番に何が大事ですか?
- やっぱり、噛み合わせが大事です。
最終的に、理想の噛み合わせに持っていくと、おじいちゃんおばあちゃんになるまで歯を長持ちさせることができます。
噛み合わせ悪いと、歯周病になったり、歯磨きをがんばっても歯が弱くなってきてしまうことがあるので、長持ちする機能的な噛み合わせを作っていくというのが目的です。
-
特にお子さんのアゴが狭いって言うのが問題になっているのですが、その辺にどうアプローチしますか?
- そうですね、小さくなっていますね。
限界量もあるので、子供のうちに拡げてキレイになる量であれば広げることもあります。
-
床矯正は先生おススメですか?
- はい。
矯正の目的は、並びだけではない、見た目だけではないんです。
子供のうちに骨格的なバランスを整えて、成長的なバランスを促していくということはやっていった方がいいかなと。
-
「女の子だから」とか「男の子だから」というものではないのでしょうか?
- そうですね、みんなやったほうがいいですね。
今お口の小さいお子さんが多いので、そういった装置を使う頻度はかなり多いです、必要なことが多いです。
限界があるので、あまりにも小っちゃい子は拡げても抜歯になります。
拡げられないこともあります。
それも含めて検査します。
-
シュミレーションできるわけですね。
- 模型とって、どれくらいガタガタがあるかによって、限界量を見ます。
-
今度は大人の矯正について話をきかせてください。
AKBのサッシーこと、指原さんが舌側(ぜっそく)矯正をしていましたが、ツイッターで「めっちゃ痛い」って、言ってましたね。矯正歯科からすれば、営業妨害かと・・笑。
本当に痛いんですか?「口内炎ができた」ってツイッターにありましたけれど。 -
はい、できますね。
たぶん、痛みに関しては、口内炎がどこにできるかによりますが、歯の表側で普通に矯正するとベロ側じゃなくて唇側に口内炎出来ることもありますし、歯の裏側(舌側)だとベロ側に口内炎が出来ることもあります。
ベロが擦れる感じなんです。あと、歯の痛みに関しては、表も裏も大差はありません。
-
舌側矯正って、先生的にどうですか?
- いいと思います。
よっぽど覗かない限りは外から見えないので、見た目気にする方はかなりいいと思います。
あとは違和感が許容できるかですね。
発音は、さしすせそ、たちつてとは、慣れるまでおかしくなります。
ただ、慣れはしますけれど、表より時間はかかります。
-
見た目を気にしないならいいのですが、芸能人は見た目を気にするので、仕方ないですね。
でも、舌側矯正って高いですよね? - 高いです。
インコグニートという種類だと100万円ですね。
印象(歯型)取って、オーダーメイドで発注するんで、その分技巧代が高くなります。
そのかわり、表側が見えずにできます。
-
女の人が多いんですか?男の人で、舌側矯正にする人はいますか?
-
結構います、若い男の方とか。
男の方も、がんばってますよ。
ダントツ若い女の人ですが。
覚悟してやらないといけません。
でも、取り外しのできる矯正装置ではないので、はめる労力はないですね。
「慣れる根性」だけあれば大丈夫です。マウスピースは、取り外しできるので食べるものの制限もないですし、歯磨きもしやすいですし、異物感は少ない。
ただし、必要なとき以外は外してはいけないというルールです。
-
どんなマウスピースを使うのでしょうか?
- インビザラインとアソアライナーの2つを採用しています。
王道の2つですね。
-
マウスピース矯正は、最後にワイヤーでの調整は必要になってくるんじゃないか?という先生もいるんですが・・。
-
そうですね、最後の微調整はワイヤー使わなきゃいけないことがあるので、ご理解いただきたいです。
せっかくマウスピースで矯正したのに、表側にワイヤーの装置を付けてリカバリーはいやですよね。
そういう時には「裏側でやりましょう」ということもあります。見た目が変わりたくない、目立たないようにしたいというのでマウスピース選んだのに、最後の最後にワイヤーが見える矯正をするのはいやですよね。
-
その場合は、全部の歯にワイヤーかけるんですか?
-
ケースによります。どれだけ微調整したいか?にもよります。
マウスピース矯正は、患者さんに頑張ってもらわないといけない、託さないといけないのです。
ワイヤーは、こちら側のさじ加減なのです。
どちらも、ニーズはあります。
患者さんと相談しながら決めています。この間、歯学博士をとりました。
大学に籍を置き研究しながら、日本大学松戸歯学部付属病院矯正科で助手をしています。大人も、子供でも、女の子男の子問わずきれいにしたい。
見た目もそうですけれど、機能面を重視すると見た目に付随してきます。
-
患者さんに一言
-
川名部歯科医院は、相談しながらニーズにあったものを患者さんに提供できるプロ集団だなと思います。
例えば、矯正の装置つけるときに時間かかるので、装置をつけるのに寝ている間に終わりたいなら、麻酔をつかう、それも、ありかもしれません。
ここでしかできないプロフェッショナルが連携してする治療もあると思います。
とにかく、疑問に思うこと、不安に思うこと、聞いてもらえればと思います。
【インタビュー】2017/4/29