摂食嚥下
目次 / CONTENTS
1. 食事中にむせる・飲み込みにくいと感じたら

年齢を重ねるにつれて、以前より食事に時間がかかるようになったり、水分でむせやすくなったりすることがあります。
最初は「少し食べづらくなった気がする」程度でも、気づかないうちに食べられる物が偏っていたり、食事そのものが負担になっていたりするケースも少なくありません。
ご本人より先に、ご家族が変化へ気づいて相談につながることがあります。
摂食嚥下障害の相談では、こうした変化から始まることが少なくありません。
最初は軽いむせ程度でも、食べづらさが続くことで、やわらかい物ばかり選ぶようになったり、食事そのものが負担になっていくケースもあります。
また、飲み込みにくさは、単純にのどだけの問題とは限りません。
入れ歯がずれてうまく噛めなくなっている。
舌で食べ物をまとめにくくなっている。
口の乾燥で飲み込みづらくなっている。
食べにくさが起きている原因は、人によって異なります。
そのため、単に「むせるかどうか」だけではなく、どの段階で食べにくさが起きているのかを確認することが重要です。
このような症状はありませんか?
摂食嚥下障害では、飲み込む瞬間だけではなく、噛む力や舌の動きの低下によって症状が出ることがあります。
例えば、水分でむせることが増えたり、食事中に何度も飲み込む動作を繰り返したりするケースがあります。
また、食後に声がガラガラしたり、口の中へ食べ物が残りやすくなったりする場合もあります。
こうした変化は、加齢による一時的な衰えと思われることもありますが、実際には口周りの筋力低下や、入れ歯の不安定さ、お口の乾燥などが重なっていることも少なくありません。
特に高齢者では、誤って気管へ入っていても強くむせないケースがあります。
そのため、症状の強さだけで判断するのではなく、どの食べ物で起きるのか、食事中なのか食後なのか、以前と比べて何が変わったのか
まで確認することが重要になります。
川名部歯科医院では、飲み込みだけを見るのではなく、口腔内の状態や現在使用している入れ歯、食事中の様子まで含めて確認しています。
飲み込みの衰えを放置するリスク
食べにくさが続くと、食事内容は少しずつ変わっていきます。
繊維の多い物を避けるようになる。
水分がないと飲み込みづらくなる。
食事の途中で疲れてしまう。
こうした状態が続くと、食べる量そのものも減りやすくなります。
さらに、噛む機会が減ることで口周りの筋力も低下し、以前より飲み込みづらくなるという悪循環につながることがあります。
誤嚥性肺炎が問題になるのも、この頃からです。
食べ物や唾液が気管へ入りやすくなるだけでなく、食事量低下による低栄養や体力低下も重なるため、回復に時間がかかるケースもあります。
川名部歯科医院では、今どの程度飲み込めるかだけで判断するのではなく、入れ歯の安定性や噛む力、舌の動き、食事中の疲れ方まで含めながら、この先も無理なく食事を続けられる状態かどうかを確認しています。
食事は、栄養を取るためだけのものではありません。
ご家族と食卓を囲む時間だったり、好きな物を食べる楽しみだったり、毎日の生活そのものにつながっています。
だからこそ川名部歯科医院では、単に飲み込みの機能だけを見るのではなく、その方がこれからも食事を続けていける状態かどうかを大切に考えています。
2. 摂食嚥下(せっしょくえんげ)って?

元気なときは、ご飯を食べて飲み込むということは、何も考えなくてもできる行為です。
当たり前のように食べ物を口に運び、噛み、飲み込む・・。
実はその動作は、とても複雑な動きなのです。
摂食嚥下(せっしょくえんげ)とは、簡単に言うと、口に入れて噛んで飲み下すことです。
摂食嚥下のことを勉強する上で、食べて飲み込むことをこれだけ細分化するのです。
それほど複雑な動作なのです。
飲み込むという動きは、単にのどだけで行われているわけではありません。
食べ物をしっかり噛めているか、舌でうまくまとめられているか、現在の入れ歯で安定して食事できているか。
これらの動きがうまく噛み合うことで、スムーズに飲み込むことができます。
そのため摂食嚥下障害では、飲み込みだけではなく、お口全体の機能まで含めながら確認することが重要になります。
このどこかに問題が起きると、食事中にむせる、食べ物が口の中へ残る、飲み込みに時間がかかるなどの症状につながります。
- 1先行期:「あ、これ食べよう!」と認知する
- 2準備期・咀嚼期:口に入れて食塊(しょっかい:食べ物の塊)を作る
- 3口腔期(嚥下第1期):口からノドヘ運ぶ、ゴックンする
- 4咽頭期(嚥下第2期):ノドから食道へ、送り込む時期
- 5食道期(嚥下第3期):食道から胃へ送り込む時期
摂食嚥下のトリビア
食べるときの動作について、無意識にできているうちは、気がつかないことだらけです。
● 口を空けたまま飲むこことはできません
ベロが上あごとの間の空間を作らないようにしないと飲み込めない仕組みなのです。
さらに、のどの下で食道と気管を振り分ける仕組みを声帯がやっています。
よく聞く誤嚥性肺炎は、飲み下した食べ物が、間違って気管に入ってしまい、そこで炎症を起こすために起こる肺炎です。
入ってきた食べ物を気管に入らないように塞ぐのですが、筋肉が弱ってくると、ちゃんとフタができず、肺に入ってしまうという仕組みです。
元気なうちは、気管に入りそうになると、むせて気管に入らないようにしています。その機能が衰えてくるのです。
のど周りの筋肉が衰え、うまく飲み込めないことを「摂食嚥下障害」といいます。
腹筋を鍛えるのと同じように、のどの周りの筋肉も鍛えるまではいかなくてもトレーニング・リハビリできるわけです。そのお手伝いができるのも、歯科医師の仕事なのです。
診療の中でも、「最近むせやすくなった」「食べるのが遅くなった気がする」といった変化をきっかけに相談へつながることがあります。
以前は普通に食べていた物を避けるようになったり、水分でむせる回数が増えたりしていても、年齢のせいかな。とそのままになっているケースは少なくありません。
ただ、こうした変化の背景に、舌の動きや飲み込む力の低下、入れ歯の不安定さなどが関係していることもあります。食べにくさは、突然起きるというより、少しずつ変化していくことが多いのです。
3. 誤嚥性肺炎との関係

食事のあとに咳き込むことが増えた。以前より痰が絡みやすくなった。
高齢者では、こうした変化の背景に誤嚥性肺炎が関係していることがあります。
誤嚥性肺炎は、食べ物や唾液が気管へ入り、そのまま肺で炎症を起こすことで発症します。
ただ、大きくむせ込んだ時だけに起こるわけではありません。
少しずつ気管へ入り込んでいたり、寝ている間に唾液が流れ込んでいたりすることで、気づかないうちに炎症を繰り返しているケースもあります。
そのため、肺炎だけを見るのではなく、なぜ飲み込みにくくなっているのかまで確認することが重要になります。
なぜ食べ物が気管に入ってしまうのか
通常、飲み込む時には、食べ物が気管へ入らないように舌や喉の筋肉が連動して働いています。
しかし、加齢や筋力低下によってその動きが弱くなると、食べ物をうまく送り込めなくなることがあります。
例えば、噛む力が落ちて十分に食べ物をまとめられなくなっていたり、舌の動きが低下して飲み込むタイミングがずれていたりすることで、誤嚥につながるケースもあります。
また、入れ歯が合わなくなっていることで、以前よりうまく噛めなくなっている場合もあります。
つまり、誤嚥は単純に「飲み込みの問題」だけで起きているとは限りません。
噛む・まとめる・送り込む
そのどこで問題が起きているかによって、必要な対応も変わってきます。
そのため川名部歯科医院では、飲み込みだけではなく、入れ歯の安定性や噛む力、舌の動きまで含めながら、どの段階で誤嚥につながっているのかを確認しています。
むせない誤嚥にも注意が必要です
誤嚥というと、強く咳き込むイメージを持たれることが多いかもしれません。
ただ、高齢者では、誤って気管へ入っていても、ほとんどむせないまま進行しているケースがあります。
これは、むせる力そのものが低下しているためです。
食事中は普通に見えていても、食後に疲れた様子が増えていたり、以前より食事に時間がかかるようになっていたりすることがあります。
また、肺炎を繰り返して初めて、飲み込み機能低下が見つかるケースも少なくありません。
特に、やわらかい物ばかり選ぶようになっていたり、水分がないと食べづらくなっていたりする場合は、食べる機能全体が低下していることもあります。
そのため川名部歯科医院では、単にむせるかどうかだけではなく、食後の変化や食事内容の偏り、口腔内の状態まで含めながら、食べる機能全体を確認しています。
誤嚥性肺炎は、肺炎そのものへの対応だけでなく、その方がこれからも安全に食事を続けられる状態かどうかまで考えることが重要です。
4. 歯科医院で行う摂食嚥下の検査・評価

同じようにむせる症状が出ていても、原因は一人ひとり異なります。
食べ物をうまく噛み切れていないのか、口の中でまとめにくくなっているのか、飲み込むタイミングがずれているのか。
食べにくさが起きている場所によって、必要な対応も変わってきます。
診療の中でも、飲み込みにくさの背景に、入れ歯のズレや口腔機能低下が関係しているケースは少なくありません。
そのため摂食嚥下の診療では、飲み込みだけを見るのではなく、口の中の状態や食べる動き全体を確認しながら評価を行うことが重要になります。
特に高齢者では、少しずつ食べ方が変化していても、ご本人が気づいていないことがあります。
以前より食事に時間がかかるようになったり、気づけばやわらかい物ばかり選ぶようになっていたりすることがあります。
中には、食後に疲れた様子が増えたことをきっかけに、ご家族が変化へ気づくケースもあります。
飲み込みや口腔機能の確認
摂食嚥下の検査では、まず口腔機能の状態を確認していきます。
舌や頬がうまく動いているかだけではなく、食べ物が口の中へ残りやすくなっていないか、飲み込んだあとに咳き込みが出ていないかなども確認していきます。
さらに、噛む力や口の乾燥、現在使用している入れ歯の状態なども含めながら、どの段階で食べにくさが起きているのかを評価します。
飲み込む動作そのものではなく、噛む機能低下が影響していることもあります。
また、食事姿勢や食べ方によって、むせやすさが変わるケースもあります。
そのため川名部歯科医院では、単に今飲み込めるかだけではなく、この先も安全に食事を続けていける状態かどうかまで含めて確認しています。
嚥下内視鏡検査について
飲み込みの状態をさらに詳しく確認するために、嚥下内視鏡検査を行うことがあります。
これは、細い内視鏡を鼻から入れ、飲み込む時に食べ物や飲み物がどのように通っているかを確認する検査です。
飲み込んだあとに食べ物が残っていないか、どのタイミングで気管へ入りやすくなっているのかなど、外からは分かりにくい動きまで確認していきます。
そのため、症状だけでは判断しにくい問題が見つかることもあります。
特に、強くむせないまま誤嚥しているケースでは、見た目だけで判断できないことも少なくありません。
また、嚥下内視鏡検査は、誤嚥の有無だけを確認するためのものではありません。
食事姿勢を変えることで改善するのか、食形態を調整した方が良いのか、どの程度まで口腔機能が影響しているのか。
そうした点まで確認しながら、その方にとって無理なく食事を続けられる状態を考えていくことも大切になります。
5. 川名部歯科医院の摂食嚥下サポート

食べることは、単に栄養を取るためだけのものではありません。
好きな物を食べる楽しみだったり、ご家族と食卓を囲む時間だったり、その方らしい生活そのものにつながっています。
だからこそ川名部歯科医院では、飲み込みの機能だけを見るのではなく、この先も無理なく食事を続けていける状態かどうかを大切に考えています。
ただ、飲み込みだけ確認して解決できるケースばかりではありません。
入れ歯が合わなくなっている。
食事姿勢が合っていない。
食べやすい物ばかりになり、栄養が偏っている。
こうした複数の要素が重なりながら、食べにくさにつながっていることもあります。
そのため川名部歯科医院では、摂食嚥下担当医だけではなく、訪問チームや管理栄養士とも連携しながら、その方の生活背景まで含めたサポートを行っています。
摂食嚥下担当医・訪問チームによる診療
摂食嚥下障害は、診療室の中だけでは分からないことも少なくありません。
ご自宅へ伺った際に、食事姿勢や食卓環境が原因になっていたり、入れ歯を外したまま食事していたことで食べにくさにつながっていたりするケースもあります。
また、通院時には問題なく見えていても、実際の食事場面では疲れて食べ切れなくなっていることもあります。
そのため川名部歯科医院では、診療室だけで状態を判断するのではなく、訪問診療も含めながら食事環境や生活背景まで確認しています。
単に飲み込みの検査を行うのではなく、どの食形態なら食べやすいのか、食後に疲れやすくなっていないか、現在の入れ歯でしっかり噛めているのか。
そうした部分まで含めながら、その方にとって無理なく食事を続けられる状態を考えていきます。
また、誤嚥性肺炎を繰り返している方では、口腔内環境の悪化が影響していることもあります。
そのため、飲み込み機能だけではなく、口腔ケアや清掃状態まで含めながら、食べる機能全体を支えていくことを大切にしています。
管理栄養士と連携したサポート
川名部歯科医院では、院内の管理栄養士が摂食嚥下診療にも関わりながら、口腔機能だけではなく、食事内容や栄養面まで含めたサポートを行っています。
摂食嚥下の診療において、院内に管理栄養士が在籍し、歯科医師・訪問チームと連携しながらサポートできる歯科医院は多くありません。
ただ、摂食嚥下障害では、飲み込みだけ確認しても解決しないケースがあります。
食べにくさが続くことで食事量そのものが減っていたり、やわらかい物ばかりになっていたりすることで、低栄養につながっていることもあるためです。
一方で、栄養を優先して食事内容を増やしても、現在の飲み込み状態に合っていなければ、むせや誤嚥につながることもあります。
そのため、摂食嚥下の診療では「食べられるか」だけではなく、“安全に続けられる食事になっているか”まで含めて考えることが重要になります。
川名部歯科医院では、現在の口腔機能に対して食事内容が合っているか、食事量が落ちていないか、栄養バランスに偏りが出ていないかまで含めながらサポートを行っています。
また、好きな物を無理なく食べ続けられる状態を維持できるかどうかも大切にしています。
食べることは、単に栄養を取るためだけではなく、その方らしい生活にもつながっています。
だからこそ川名部歯科医院では、飲み込みだけを見るのではなく、食べ続けられることまで含めた診療を大切にしています。
6. 摂食嚥下治療でよくある質問
Q. むせることが増えたのですが、年齢のせいでしょうか?
加齢によって、舌や喉まわりの筋力が少しずつ低下することはあります。
ただ、「年齢のせいだから仕方ない」と決めつけず、現在どの段階で食べにくさが起きているのかを確認することが重要です。
入れ歯の不安定さや口腔乾燥が影響しているケースもあります。
Q. 誤嚥性肺炎は、どのような人がなりやすいですか?
飲み込み機能が低下している方や、むせる力が弱くなっている高齢者では、誤嚥性肺炎につながりやすくなります。
また、口腔内環境が悪化していることで、誤嚥した際に肺炎リスクが高くなるケースもあります。
飲み込みだけではなく、口腔ケアや入れ歯の状態まで含めながら確認することが重要です。
Q. むせていなければ誤嚥していないと考えて大丈夫ですか?
必ずしもそうとは限りません。
高齢者では、誤って気管へ入っていても強くむせないケースがあります。
食後に痰が増える、声がかすれる、肺炎を繰り返すといった変化がある場合は、摂食嚥下機能低下が関係していることもあります。
Q. 摂食嚥下障害は、どのタイミングで相談した方が良いですか?
食べられなくなってからではなく、「以前と少し違う」と感じた段階で相談いただくことが重要です。
食事に時間がかかるようになった。
やわらかい物ばかり選ぶようになった。
食後に疲れた様子が増えた。
こうした小さな変化が、摂食嚥下機能低下のサインになっていることもあります。
Q. 入れ歯が合わないことも飲み込みに影響しますか?
はい、影響することがあります。
入れ歯が不安定になることで、以前より噛みにくくなり、食べ物を十分にまとめられないまま飲み込んでしまうケースがあります。
飲み込みだけではなく、入れ歯の安定性や噛む機能まで含めながら確認することが重要です。
Q. 嚥下内視鏡検査は痛みがありますか?
細い内視鏡を使用して行う検査のため、強い痛みが出るケースは多くありません。
ただし、違和感には個人差があります。
飲み込み状態を確認しながら、無理のない範囲で検査を行っていきます。
Q. 訪問診療でも摂食嚥下の相談はできますか?
可能です。
摂食嚥下障害では、ご自宅や施設での食事環境が影響しているケースも少なくありません。
訪問診療では、食事姿勢や食事環境、入れ歯の状態まで含めながら確認することができます。
Q. 歯科医院に管理栄養士がいるのですか?
はい。川名部歯科医院では、院内に在籍する管理栄養士も摂食嚥下診療へ関わっています。
摂食嚥下障害では、飲み込みだけではなく、食事内容や栄養状態まで含めながら考えることが重要になるためです。
食事量が減っていないか。現在の飲み込み状態に合った食事内容になっているか。栄養バランスに偏りが出ていないか。
そうした点を、口腔機能と栄養面の両方から相談することが可能です。
Q. 家族が食事中によく疲れているのですが関係ありますか?
関係している可能性があります。
食べる動作には、舌や喉、頬など多くの筋肉が関わっています。
飲み込み機能が低下すると、以前より食事に時間や力が必要になり、食後に疲れた様子が増えることもあります。
Q. 食べる機能はリハビリや訓練で改善できますか?
状態によって異なりますが、口腔機能訓練や口腔ケアによって改善を目指せるケースがあります。
舌や口周りの筋力低下、口腔乾燥、入れ歯の不適合などが関係している場合は、適切な対応によって食べやすさにつながることもあります。
現在どの段階で食べにくさが起きているのかを確認しながら、その方に合ったサポートを行っています。
最後に
食べることは、単に栄養を取るためだけではありません。
好きな物を食べる楽しみだったり、ご家族と食卓を囲む時間だったり、その方らしい生活そのものにつながっています。
だからこそ川名部歯科医院では、単に「むせるかどうか」を確認するのではなく、噛む力・舌の動き・入れ歯の状態・栄養面まで含めながら、この先も無理なく食事を続けていける状態かどうかを大切に考えています。
最近むせやすくなった。食事に時間がかかるようになった。
ご家族の食べ方に変化を感じる。
そのような小さな変化でも、お気軽にご相談ください。