2026年01月24日
【世界的な歯科専門誌(IJPRD)に院長考案の歯周組織再生治療(L-EPPT)が掲載されました!!】
最後臼歯の歯周病に対する新しい再生治療
― L-EPPT(Last Molar Entire Pad Preservation Technique)とは ―
「一番奥の歯の歯周病は治らないと言われた」「再生療法をしたけれど、うまくいかなかった」
このようなご相談を受けることは少なくありません。
特に最後臼歯(親知らずの手前の歯)は、解剖学的に治療が難しく、従来の歯周組織再生療法では治癒が不安定になりやすい部位として知られています。
今回は、国際歯周病専門誌に報告されたL-EPPT(Last Molar Entire Pad Preservation Technique)という新しい再生手術法について、分かりやすく解説します。
なぜ「最後臼歯」の再生治療は難しいのか?
最後臼歯の歯周病治療が難しい理由には、以下の特徴があります。
・ 傷口のすぐ上が骨欠損になりやすい
・血流が乏しく、治癒が遅れやすい
・手術後に縫合部が開きやすい
・再生材料(骨補填材やエムドゲイン)が漏れやすい
その結果、
せっかく再生療法を行っても、治療が失敗するリスクが高い部位でした。
L-EPPTとは何か?
L-EPPT(Last Molar Entire Pad Preservation Technique)は、最後臼歯の遠心歯肉(奥側の歯ぐき)を切らずに温存することで、
・創部の安定
・再生材料の保持
・術後の治癒環境の改善
を目的とした、再生療法専用の外科手技です。
従来法との大きな違い
・骨欠損の真上に切開を入れない
・奥の歯肉(レトロモラーパッド)を保存する
・側方(頬側)から十分な視野を確保する
これにより、傷が開きにくく、治癒が安定することが期待されます。
実際の治療内容(論文より)
この論文では、最後臼歯に「骨欠損+根分岐部病変(Class II)」を伴う2症例に対してL-EPPTを用いた歯周組織再生療法が行われました。
治療内容は以下の通りです。
・歯根表面の徹底的な清掃
・EDTAによる歯根表面処理
・エムドゲイン(EMD)の使用
・牛由来骨補填材(Bio-Oss)の併用
・L-EPPTによる縫合・創部安定
治療結果はどうだったのか?
・術後8〜18か月の結果
・歯周ポケットはすべて3mm以下
・出血なし(BOP陰性)
・根分岐部病変は完全閉鎖
・歯の動揺も改善
・CT画像で骨の再生を確認
また、術後の痛みや腫れは最小限で、創部の治癒も非常に良好だったと報告されています。
L-EPPTが適応となるケース
この術式は万能ではありません。
以下のようなケースに特に適しています。
・最後臼歯の頬側Class II根分岐部病変
・遠心側に2〜3壁性の骨欠損がある
・骨欠損が舌側・口蓋側まで及んでいない
・適切なプラークコントロールが可能
逆に、Class III根分岐部病変や
舌側まで大きく広がった骨欠損では適応外となります。
まとめ
最後臼歯の歯周病は、
「抜歯しかない」と言われやすい部位です。
しかし、適切な診断と術式を選択すれば、歯を残せる可能性があるということを、この論文は示しています。
L-EPPTは、
・最後臼歯特有の解剖学的問題を考慮した
・再生療法の成功率を高めるための
・非常に理にかなった手術法
と言えるでしょう。
当院では、歯周病専門的知見と最新のエビデンスをもとに、「残せる歯は、できる限り残す治療」**を大切にしています。
「奥歯を抜くしかないと言われた」
「再生治療ができるか相談したい」
そのような方は、お気軽にご相談ください。
下記画像は術式を説明しているシェーマ、再生療法後の骨の再生されたレントゲン像です。




